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同性婚と役所の宿命

こんばんは、圭です。

渋谷区の「同性カップルを結婚に相当する関係であると認める条例案」が話題になっていますね。

牧村朝子さんがテレビに何度か出たり、
アイドルと女優が結婚式を挙げるというのがニュースになったり、
そのつどわたし、思い出しているんだが。

何ヵ月も前、と言っても1年は経っていないのだけれど、
青森の女性同士のカップルが市役所に婚姻届を提出し、不受理になったっつー出来事がありました。

このブログでも一度、取り上げたのだけれど
うーん、簡単に書きすぎたなあ、もっと書き残しておきたいことあったなあ。

もはや時事ネタではない、でもそのニュースを見たときに書きたかったことを
渋谷の話に便乗して、いま垂れ流します。


※たのしい話ではないので分けます。

 











事の顚末はかくのごとし。

青森に住む女性同士のカップルが市役所に婚姻届を提出。
その約1時間後、市は届の不受理をふたりに伝えます。

不受理の根拠は憲法第24条。
「日本国憲法第24条第1項により受理しなかったことを証明する」






というね。
 

このとき。
ちまたの反応にけっこう違和感があったんだな、わたしはな。

冷静な反応を示すひともむろんいるなかで
「青森市役所ふざけんな」という激怒、はたまた「憲法で禁止されてるもんね…しようがないよね…」というような、絶望感満載のコメント。

この違和感、ちょっと突っ込んで整理しておきたいので、書きます。

 
まず。

しつこく書いてるけれども
わたしは、日本の憲法が同性婚を禁止しているとはおもっていません。

禁止などされていないよ。
書いていないだけ。
 
そしてこれは、決してわたしひとりの勝手な解釈ではないようです。ありがたいことに。
「たしかに禁止はされてない」というのは、専門家のなかにもある意見です。

ばっきばきの保守派は反対するかもしれないが、そういうひとは、とりあえずこの場ではスルー。


さて憲法は同性婚を禁止していない。

ということはだ、青森市役所の対応として、「憲法を根拠として書類を受け付けない」のは、ほんとうは、おかしいわけだ。

それでも、わたしは、市役所がわるいとも、実はおもっていません。


なぜ青森市役所は婚姻届を受理できなかったのか?
ちょっと妄想を書かせてね。


いきなり結論、それは、「行政に法解釈の権利はないから」ではなかったでしょうか。

法律に書いていないことを議論するのは、裁判所。司法の場です。
市役所は、法に書いてあることにしたがって、粛々と事務を執り行う場です。行政ですもの。
公民で習った三権分立を思い出しましょうぜ。

だけれども、憲法だろうが民法だろうが、同性婚のことは日本の法のどこにも書いてはいないのだね。


つまり。
市役所にとって、この事件は。


うわー、うちでさばけない案件きちゃったわー。


という状態だったのではないかと、推し量るのであります。


「法律には書いていないけれど、この場合、どうしましょうか」
という案件は、裁判で問うことができます。が、完全に市役所の業務外。

不受理の理由は、まずここにあったのではないか、とにらんでいます。
 

ところで。
このニュースが出回ったとき、多くの性的少数者や支持者は言いました、「画期的だ」と。
なにが画期的って、それは我々がはじめてノーを突きつけられたこと。

どうか間違えないで、これは「日本の法は同性婚を許しません」というノーではない。
「いま存在している法では、この書類を受け付けることができません」と、行政がはじめてボールを投げ返してきたいう意味で、画期的なのだとおもうのであるよ。

「これは困りましたね、裁判所に判断を仰ぎましょう」と動けば、司法が議論の場となります。
ひとまずさようなら市役所、正しい戦場に移動しましょ。
プールで相撲はとれないし、土俵でテニスはやらないものだ。


そして裁判所が「婚姻届を受理しなかった市役所は違憲」と判断を下せば、ばんざい、日本は同性婚できる国だったんですねーぱちぱち。

「市役所の対応は合憲」と言われてしまえば、そのときはじめて日本は「同性婚が認められない国」になる。



でも、いま、わたしたちは知らないのです。
この国の法がわたしたちをどのように裁くのか。

未知の領域に踏み込むのはおそろしく、時間もお金も体力かかり、私生活をマスコミに踏みにじられるであろうことが予想でき、うーんまあ別にそこまでしなくても生きていけるしね、と我々がおもっている限り、日本は「同性婚ができるかどうかはよくわからないけれどとりあえず議論を先送りしている国」であり続け、決して「同性婚を禁止している国」ではありえません。きみ悲観することなかれ。



振り返って、青森市役所。
提出された案件が、行政の仕事の範疇外ならば、そう答えたってよかったのに。

なぜ、なぜ青森市役所は、憲法を楯にしたのか?

それはね。
って、これは完全にわたしの妄想だけんどね。

国内でさっぱり盛り上がらない同性婚法制化議論の引き金を引くことをおそれ、
無敵の最高法規、憲法さまを持ち出して、その場をしのいだのではないでしょうか。


我々同性カップルはもちろん、支援してくださる方のなかにも、
同性婚は憲法違反だと勘違いしているひとがいるのです。

比較的最近では、LGBTフレンドリーな乙武洋匡さんが
法律家との対談のなかでおっしゃっていました。

知らなかった、と。
「日本では同性婚は禁止されているのだから、改憲すべきだ」とおもっていた、と。



同性愛者が、当事者が、我々が、じぶんの権利と法の可能性とに無頓着であるのに、国を、法を、市役所を、無理解なひとびとを、責めることはできないとおもいます。

市役所の方が、憲法を理由にこの場を逃れてもいいかな、とおもったのも、やむなし。
だって、我々自身が、詳しくないのだもの。
こんな記事書いてっけども、わたしとて門外漢。


市役所の方が「憲法は同性婚を禁止している」と思い込んでいだ可能性もあると言えばあるのだけれど、でもね。

提出に行った方のツイッターを拝見しましたが、
受理しないという結論が出るまで、相当待たされたというではないですか。

もし、「憲法が同性婚を禁止している」というのが公務員の共通認識であるならば、
そんなに待たされたはずはないと、わたしはおもうのです。

その場で断ればいいんだから。
申し訳ありません、憲法で禁止されていますので、この書類は受け付けられません。終了。

そうはならなかったのです。時間は、かかったのです。

どうしていいかわからなかったから、悲しいかな、法には書かれていないから、処理がごたついたのではないかしら。上司に相談したり、慌てて法律を読み返したり。


だから。
わたしたちがしなければならないのは、「ほらね、やっぱり日本はだめなんだよ」と、嘆くことではなく。
青森市役所を罵倒することでもなく。木によりて魚を求め、魚がいないので木を切り倒すくらいとんちんかんな批判だからね!
この、市役所が出したノーには納得がいかないと、声を上げていくことでしょう。


法廷で決着をつけよう、市役所の対応は許すべからじと鼻息荒く進むも一考。

憲法はともかく、民法と戸籍法のコンボにより定義された「婚姻」のほうは、「男女間で成立するもの」と読めてしまうので、同性間の関係には「婚姻」ではない別のことばを作っていくも一案。


なにか、あるさ。
前向きな手段が、あるさ。



「わたしは『好き』を諦めないよ」

Yurikuma


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06.セクマイばなし」カテゴリの記事

コメント

二回目ですこんばんは。
青森市役所内のドタバタ劇、
確かにそんな感じだったのでしょうね。

私はこういう風にニュースになり、
世論で活発に意見が交わることが、
世界を広げる一歩になると信じてます。
こういったことを取り上げられ、たくさんの人に知ってもらい、
それが日常化すれば、それ(同性愛)が異常である
という誤った認識が少なくなると。

自治体の条例制定や、法の解釈なんかも
徐々に進めばもちろん嬉しいです。

私も彼女との生活
『好き』を諦めたくない
です。笑

生存ー戦略ー!

noiさん

こんにちは、コメントありがとうございます。
議論になること話題になること、嬉しいですよね。

条例制定む向けた動き、注視します!

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