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リアル「百合のリアル」

こんばんは、圭です。
 
風が吹くと儲かるのは桶屋ですが、
わたしが風邪をひくと儲かるのはどこでしょう。


答え:本屋


図書館が閉まってしまう年末年始、気になっていた新書を買いました。

業界ニュースに敏い方々のなかには読了している方もあらせられると思料。
こちら、牧村朝子『百合のリアル』


※ちょっとカタいかも。











著者 牧村さんは、フランスの方と同性婚し、パリで暮らすレズビアン。

そのまきむぅが、本を書いたって?
え、百合のリアル?


題名を聞いて、すぐさまレズ一代記を想像したアカウントはこちらです。

偏見に満ちたヘテロワールドに対する、レズって○○だとおもわれてるけど、うふふ、ほんとはね…みたいな内容を、レズビアン当事者視点で書いた本なのかと、ね!


帯にはおうつくしい素肌をさらした牧村さんの写真。
「女に生まれて、女を愛して。」の文言。

カバー裏には「私と一緒に、『性』と『知』の冒険に出ませんか? あなたの"百合観"変わりますよ♡」


どきどきしながら本を手にとったのは、わたしだけではあるまい。


しかし。

ああ、しかし。

ちがった。


これは、もっと俯瞰的な本でした。
ちょっと、皆さん、すごい本が出ましたよ!


 


ところで、ひとつ、こんな問いを。

あなたは、何者ですか。どういう人間ですか。

 

どんな答えがありえましょうか。

わたし?

わたしは。

日本人です。
淡々と働く社会人です。
酒好きです。
活字好きです。
コミュ障です。
レズです。

ブログの自己紹介レベルで、挙げてみました。


で、だ。
この答えを見た方は、わたしをどんなひとだとおもうのでしょう。


わたしは「日本人」です。


うんうん、わかってるよ、知ってたよ、とうなずいたあなた。

実はわたしは帰化した「日本人」であって、日常会話は基本的にドイツ語、ブログもドイツ語で書いたものを翻訳サイトにぶちこんでから彼女と相談しつつ表現を修正し、それらしい日本語にしているのよ。

などと言ったら、うそでしょ!? と驚かれることでしょう。
あなたのイメージした「日本人」と、きっとぜんぜん違うから。


や、うそですけれどもね。
例えばなし、例えばなし。


 
もう一例いきましょう、わたしは「活字好き」です。


さてさて、どんな「活字好き」を思い浮かべたかしら。 
わー、きっとたくさん本を読んでるんだろうなあー、とおもうひとが多いのではないかと勝手に予想いたしますが。

わたしの場合、字を見ることそのものに萌えを感じる「活字好き」でございます。

ポテトチップスを食べながら、成分表示やじゃがいもの産地を「見る」のがたのしい。
街なかを歩けば、看板のレタリングが気になる。

本を読むのは好きですが、字が整然と組まれ刷られている様子の鑑賞にたのしみを見出していますからして、超名作であろうとも、中身はほっとんど覚えていません。


そんなわたしに、「なにそれ活字好きって言うの?」と違和感を覚える向きもあるかもしれないけれど、
かまうこたねえ、わたし自身がわたし自身を、「活字好き」と表現することを選択したのだ、よってわたしは活字好きなのであるよ。





寄り道が長くなりました。

『百合のリアル』で、牧村さんは伝えてくれます。

カテゴライズなんて、他人が、そのひとにとって便利だからやってるのよ、
あなたがじぶんをそのように認知する義務なんてないのよ。

レズビアンだ・セクシャルマイノリティだと名乗ったり自認したりする必要なんて、ないのよ。
もし、あなた自身が、そのことばを、選びとることができないのであれば。

逆に、他人が「男とつきあったことがあるならレズビアンじゃない」といくら言おうとも、
あなたは自由にレズビアンだと名乗ればいい。
もし、あなた自身が、そのことばを、選びとりたいのであれば。



さらに。

牧村さんは納得させてくれます。

あなたは何者か?という問いへの答えを、あなたは用意することができるでしょうが、
どのように答えようとも、なによりもまず、「あなたはあなた自身である」
ということを。


これけっこう衝撃だったなあ。
こんな哲学命題のような、なんつうの、個人主義? 実存主義?

「あなたは他のだれでもない、あなたなんだよ」というメッセージをだな、
こんなにやさしく、わかりやすく、あたたかく、すこーんと臓腑に落としてくれる本、あったんだなあ。



さらにさらに。

牧村さんは解きほぐします。

ふつうってなに? 自然ってなに?
みんなと違う? じゃあ、みんなってだれ?


今さらだけれど、この本、セクシャルマイノリティに限定された話ではないのだね。
牧村さんご本人がレズビアンなので、セクマイが事例として引かれてはいるけれど。

下手な教科書つかって倫理や道徳や保健体育の授業をやるより、この本1冊与えたほうが、ずっと中高生のためになる、とわたしはおもいました。

保健室の常設図書にしてはいかがか。





ここで。
題名をあらためて見てみます。

『百合のリアル』

ああん、もう、百合に限った本じゃないのに!

サブカル本でもエロ系暴露本でもないのだから、
この題はもったいないような気もするし、
わたしのような邪念まみれの読者の目から
うろこをぼろぼろ落としてくれるのだから、
この題は技アリな気もするし。

いい本。うむ、いい本。出会えてよかった。



感想はカタめに書いたけれど、とても読みやすい本です。
まんががちょこちょこ挿入されていて、文章も平易。

気軽に手にとって、まきむぅすげえ!と感動するのが常道かもしれません。

おねえさまに教化していただいたようで、有意義な読書でしたわ…
とおもったら、牧村さんわたしと同い年だよ。

やっぱり、まきむぅすげえ!


牧村 朝子『百合のリアル』
星海社新書 2013年11月

 

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08.レビューらしき」カテゴリの記事

コメント

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

私も「百合のリアル」読みました。
すごくわかりやすく書かれていて、ふむふむとすーっと納得させてくれる本ですねぇ。
改めて自分に置き換えて考えてみたり、もしました。

風邪、お二人ともお大事になさってくださいねー。

クロさん

あけましておめでとうございます。

そうそう、すーっと納得、まさにそういう本でしたね。
同い年とはおもえない視野のひろさにくらくらしました。

風邪は仲良くうつし合っています!

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