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文字の記憶をかみしめる

こんばんは、圭です。
 
仙台であきらさんが買ったまんがは、紹介しました。

で、圭よ、きさまはなにを買ったのだ。

と、そんなことを気にするひとがいるとはおもわないのだけれど、書きますよ。
はっちゃけます、趣味一色のレビュー。レズものろけも関係ありません。

あまりにもわたしの好みのどまんなかの本で、想いがあふれてしまって、推敲などしていられないわ。
書きたいことをどんどん書いて猛進しよう。ついてきてくれる方は、果たしているのだろうか。

いくぜ、正木香子『文字の食卓』


※もちろん分けます。











帯に書かれたことばは「滋味豊かな書体をあつめました」
 
書体とことばに寄せるエッセイのような、書体見本帳です。

ことばを視覚化するにあたり、だれもが操りうる武器である、フォントを、その書体から受ける印象をさらにことばで語りなおす、そういう本です。
 
書体を紹介するときのキーワードは、「食べもの」。
文字を読むとき、つまり著者は文字を食べているのだね。
帯に書かれた「滋味豊か」というのはそのとおりの意味で、著者は読むことで栄養を摂っているにちがいないとおもわされます。

書体を一種類ずつとりあげ、
これは「やわらかくて、弾力があって、粘着質」なチューインガムの文字、
これは「まるくて、なめらかで、のびやかなフォルム」のふしぎな光をもつ卵の文字、
などなどと名前を与えては、独りでその豊潤なかおりの世界をたのしむ正木さん。
 

こういうひと、わたし、じぶん以外にはじめて見たので、親近感がつがつです。

 
例えば、ベストセラー絵本の『ぐりとぐら』はカステラを作る場面が有名ですけれど、
あのぶあつい読点と、べったり黒々とおどる線で、「おなべに ばたーを よく ぬって」作るからおいしそうなのであって、そうでなければこの絵本はあんなに売れなかったとおもうんだ!

と力説したときに、「へ、へえ…」ではなくて、「うん、わかるわかる」と言ってくれるひとは、どれほど、ああ、いったいどれほど。


『ふたりのロッテ』は、「牛肉入りマカロニ・スープ」の片カナの不安定なぐずぐず感がおいしそうだから何度も何度も読んだ。

『窓際のトットちゃん』は、「桜でんぶ」の「でんぶ」がほろほろ太っ腹で、でんぶという食べものを知らなかった幼稚園生のわたしを夢中にさせた。

『ピーターラビット』の絵本シリーズは、何度も登場するパイやパンの「パ」の半濁点がきゅっと本体に寄っていて、香ばしく焼けてそりかえった生地が目に見えるようだった。


正木さんが本書でとりあげている書体と、わたしのこころを揺さぶった書体との重複の多いこと、感動ものでした。

かなり前に、文藝春秋の「うどん」という文字がとても好きだと書いたことがあるけれど、『文字の食卓』のおかげで、あれが凸版明朝体という書体だと知ることができて、これがまた大収穫。


わたしは正木さんのような書体オタクではないので、
名称を知っている書体は両手でじゅうぶん足りる程度だけれど、
じぶんのおいしい読書の記憶を掘り返すことができて、
しみじみと味わいぶかかったです。


なんというか、薄暗くて、かさかさ乾いていて、すこしほこりっぽく、でもストーブの熱があったかい、屋根裏のとっておきの秘密基地にないしょで隠してあるチョコレートみたいな本でした。

書いた正木さんも、読んでいるわたしも、じぶんひとりの世界に没入。
だれの共感も求めていない。

このチョコレートの特別なあまさ、わたしは知っている、よ。


正木香子 『文字の食卓』
本の雑誌社 2013年10月

 
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