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彼女のあしあと


家に着いたら、まっくらだった。
車庫には彼女のバイクが停まっている。

彼女はもう帰宅しているはずだ。


かぎを開ける。

玄関のたたきには、彼女の運動靴が1足、つま先を室内に向けて鎮座していた。

うん、帰ってる、帰ってる。
その日に履いた靴以外は、きちんと踵をそろえて並べているもの。
   

居間をのぞく。

暗い。無線ランのランプだけがちらちら光っている。
明かりをつけると、ローソンのビニル袋が転がっていた。

まちがいない。帰ってる、帰ってる。


こたつはあたたかくなかった。
ということは、だいぶ早い時間に彼女は戻っていたのだろう。

ローソンの袋をみるに、おやつを食べたくなるくらいの時間には、
そうだな、3~4時ごろには、帰宅していたのではないか。


窓を見た。

朝わたしが家を出るとき開けそびれた雨戸が、開いている。
開けたのはあきらさんだ。
彼女は明るい時間に雨戸を閉めきった部屋にいることを好まないから、やはりまだ明るいうちに帰ってきたということだ。


こたつの脇には、古本屋で大人買いしたとおぼしきまんがの山があった。

彼女が古本屋でこれほどの散在をするときは、判断力が鈍っているときだ。
そして、ふだんなら買ったまんがを一気に読んでしまうはずなのに、
30冊ちかい書籍の束にぴっちりとかけられたビニルから、取り出してあるのは1巻だけだった。


さては、夜勤続きで寝不足で、早番に振り替えてもらって、大喜びで寄り道しておやつとまんがをゲットし、早々と帰宅したはいいが、睡魔に耐えきれずふとんに沈んでいるな。





はたして、寝室にはくったり眠りこけたあきらさんがいました。
ごはんを作ってから起こしにいくと、ふにゃふにゃお帰り。ですって。うっふふふ。

長ねぎと鶏肉とあぶらげとわかめを入れたうどんをすすり、
目に光が戻ったあきらさんは、思い出したように訊きました。



「圭さん、今日さ、帰ってきたときさ、あたし電気もぜんぶ消して爆睡してたけど、あたしがもう帰ってるっていつ気づいた?」

「ああ、バイクがあったからね。家に入る前から、帰ってるのはわかってたよ」



それだけでは、ないけどね。

家じゅうが、教えてくれた。

あなたのあしあと。
いきづかい。
しゅうせい。くせ。
ていれい。つうじょううんてんのけいせき。
るすではないって、すぐ、わかった。


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