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両手をひろげて好きと言いたい

こんばんは、圭です。

「文芸派のレズビアンにおすすめの小説」まとめより、続けてもう1冊。
『マンゴスチンの恋人』です。


※未読のひと向けのつもりですが閲覧注意!










続けて読んだからかもしれないけれど、ページをひらいて既視感に襲われました。
あれ、『リリイの籠』とそっくり…?
 
ひとつの高校を舞台にした連作短篇集。
うん、リリイもそうだった。

女子高生を中心に、人間関係のごたごたと機微が語られる。
うん、リリイもそうだった。

直截的かつ現代的な、平たく言えば「今ふう」の一人称小説。
うーん、そっくり。


リリイと大きく違う点は、マンゴスチンのほうは共学が舞台だということ。

そして、リリイは女性同士の関係が主で、
そのなかに「ゆうちゃんはレズ」という恋がらみの話があるっちゃある…という作品だけれど、
マンゴスチンのほうは、明確にセクシャルマイノリティの恋愛を扱っているということ。


収められた4篇の題はすべて意味深で、「ふつうの」生殖をしない植物と、主人公の想いとを重ね合わせたものとなっています。


雌花だけでも実を成すくだもの。
 
栄養状態によっては雄花が雌花に性転換する植物。
 
雄花と両性花の2種類をつける花に、三角関係をおもう。
 
種を残さず、咲いて散る花。

それぞれに苦しく、それぞれに悩みふかい「ふつうの」恋と感情の抑圧。
あーあ、甘酸っぱい。
 

わたくし個人的には、文体のせいで感情移入がしづらく、
読みながら冷めてしまったのだけれども、
あ、でも2篇めには萌えたけれども、それはそれとして、
セクシャルマイノリティの恋愛小説はあまり類書を見ないので、
当事者の青少年のうちには、この本が宝になるひともいるだろうなあ。

生物の先生が自然界の性の多様性を説くとき、
「なんか下ネタぎりぎりのよくわかんねーこと言い出した」と受け取る生徒がいる一方で、
教科書の陰でこっそり涙を拭く生徒も確かに存在するのが、わたしたちの世界ですものね。 

 
だれかに肯定してもらうことではじめて、
安心してじぶんの生を、性を、肯定できる多感な時期に、祝福を。
これは福音かもしれません。

 
遠野 りりこ 『マンゴスチンの恋人』
小学館2011年9月


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蛇足①
ガチレズは表題作から読むとブチキレる可能性大。2篇め・3篇めをどうぞ。

蛇足②
登場人物が「息をつく」「息を吐く」が多すぎて、愉快になるほど目ざわりだよ☆

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