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ドビュッシーに百合をのせて

こんばんは、圭です。
 
年内の仕事はこれで終わり。
ゆっくりこたつに入って、たまには百合まんが以外の書籍レビューをやっちまおうかしら。
先週読んだばかり、『さよならドビュッシー』です。

「第8回このミステリーがすごい!大賞」で大賞をとった作品。

 
※直接的なネタばれはしませんが、結末の「察しがつく」可能性があるので未読のひとは閲覧注意!

 











内容をざっくり書くと。
 
ピアノを志していた16歳の女の子が、
火事に遭っていとことじいちゃんを喪い、
じぶんも大やけどを負って全身を手術。皮膚移植。

歩行に困難をきたし、指も思いどおりに動かない女の子に向かって、
「事故は不幸だけどね、学校の決まりですから、コンクールで入賞していただかないと落第ですわよ」
と、鉄壁の冷たさを発揮する学校。

王子様のような天才ピアノ弾きの神がかったリハビリによって驚異的な恢復を見せた主人公は、
ピアノの腕と王子様との関わりを妬む同級生にがつがついじめられ、
「松葉杖に頼る少女がすばらしい演奏をする」というおいしいニュースに飛びつくマスコミを不快におもいつつ、
あたし負けない!とピアノを弾き続ける。

しかし、周囲に忍び寄る不穏な影。
あたしを殺そうとしているひとがいる?
亡くなったじいちゃんは大資産家だし、これは遺産をめぐるいざこざ?
もしかしてあの火事も実は?

そして殺人事件が起こる…

みたいな。



わたしね、正直に言ってね、この本あんまり好きになれないまま読んでいたの。

なんて安直。
なんて王道。
スポ根? 音楽を題材にとった青春?

すべてが、予想の範囲内にありきたりな着地を見せます。

最後のほうは、ありきたりすぎて、さすがにそういう展開にはならないだろ…なっちゃったよ!という意味で予想を裏切られました。


「このミス」大賞受賞作ったってね。
登場人物が少ないし、伏線が不自然に目立ちますからして。

事件が起こる前に真相がわかってしまう、という。
ミステリーとして読むには物足りない気がいたしました。


加えて。
文体が、なんつうの、歯が浮く。

音楽を語る文言が、もう紋切でクサすぎてクサすぎて。
曲の難易度、音のよさ、演奏家の魂を、ことばだけで描く難しさよ。

過剰にドラマチックで恥ずかしくなってしまいました。


 
しかし、しかし。

それでもわたしがこのレビューを書いておるのは。
想定読者にレズビアン諸嬢を据えたこの場でこの記事を上げているのは。

この本、百合好きにはおいしかったから。


帯にはね、「終盤で大掛かりなトリックが炸裂する」なーんて書いてあんのよ。
わたしにはトリックなど見えなかったぜ、炸裂したのは熱い熱い百合だったよ!


最後の8ページ(単行本)を読んだとき、これを途中で投げ出さなくてよかったとおもった。
しめくくりの1行と、題名の巧さにまた唸った。

単行本化にあたって題名をあらためたという話だけれど、なるほど、このほうがいい。
 

絶賛することはできないのだけれど、
こんな評を見ても気になったという方は、ご一読あれ。



中山 七里  『さよならドビュッシー』 (2010年1月 宝島社)


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