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映画「最強のふたり」感想

こんばんは、圭です。

週末はあきらさんとふたり、映画「最強のふたり」を観てきました。
CMや映画紹介のテレビ番組でもちらほらやっている、フランス映画。
 
公式サイトはこちら

http://saikyo-2.gaga.ne.jp/
 

事故で首から下が麻痺した初老の大富豪フィリップと、
彼を介護する貧困層の黒人青年ドリスとの友情もの
。であります。


この作品わたしとっても気に入ったので、感想記事を書くよー書くよー。

大々的なネタばれはしませんが、「それは知りたくなかった!」情報をうっかり書いてしまう可能性はあるので、これから観るつもりの方は要注意ですぞ。


※いちおう未見のひと向けのつもりです。
 











えー。

では。

いいなとおもったポイントを挙げてゆきます。

まずは。



音楽です。

フィリップとドリスの音楽の趣味の違いは、彼らが「対照的」であることをわかりやすく示す要素のひとつなんだが、それはそれとして。
フィリップはクラシック、ドリスはファンクね。


音がね、耳を洗っていくの。
要所要所で、印象的に、効果的に。

しみこんでくるピアノの音。
フィリップの誕生日パーティで流れる軽やかなナンバー。

音楽スタッフ「ルドヴィコ・エイナウディ」なんて、初めて聞いた名前だがね、オープニングの1曲からしてわたしの心を奪っていったわ。



次に。

筋立てです。

いや、筋というと語弊があるかもしれない。
劇的なストーリーらしきものがね、ないの。
で、その、「ない」ってところが魅力だとわたしはおもったの。

この映画を誰かに紹介するとき、まあ多くのひとは記事の初めにわたしが太字で書いたような説明をするのでしょうが、この説明を読んで、あなたは勝手に情報を補ったりしてやいませんか。

例えば、こんなぐあいに。


事故で首から下が麻痺した初老の大富豪フィリップと、
彼を介護する貧困層の黒人青年ドリスという、
ふつうなら相容れないふたりが初めは衝突するが理解しあってゆく友情もの



とか。


事故で首から下が麻痺した初老の大富豪フィリップと、
彼を介護する貧困層の黒人青年ドリスは心を通わせるが、
ドリスがスラム出身であることを気にするフィリップの親戚などが障害となり、
摩擦が生まれてしまって…


とか。


事故で首から下が麻痺した初老の大富豪フィリップと、
彼を介護する貧困層の黒人青年ドリスはとっても仲良し。
ドリスがスラム出身であることを気にするフィリップの親戚などが障害となるも、
絆の力で痛快にハッピーエンド!


とか。

ちがうの。そういう話じゃないの。
たった2時間のなかで、山あり谷ありなにかが解決して完結する。そういう映画じゃないの。

つつつーと流れる彼らの時間の一部を、ちょいちょいと拝借した感じ。

喜劇調にデフォルメしているぶぶんも、もちろんあるのだろうけれど、
実話をもとにしているのだということが、監督・脚本コンビが実話をたいせつに扱っているのだということが、強く強く感じ取れます。

わざとらしい「ストーリー」は、ありません。

 

お次は。

光と影のつかいかたです。

映像美と言ってもいいのかもしれないけれども、わたしは美術に造詣が深くないのでね、もっと直観的な話。


映画の冒頭。夜の街を暴走する黒い車。
運転席のドリスが、助手席にもたれるフィリップに目をくれるたび、白眼がきろっときらめく。

映画の中盤。寝床で、感じないはずの痛みに悩まされるフィリップ。
さっと飛んできて冷たいおしぼりを用意するドリスの筋肉が、となりの部屋の明かりに照らされる。

映画の後半。暗くカサついた夜の庭。
ふいに現れたドリスがぱっと笑うと、皓い歯がこぼれる。


いいな、いいな、きれいなシーンだな。



そして、次は。

音楽がよくても、筋がよくても、映像がきれいでも、これがないとね、俳優陣の魅力。

しかし「最強のふたり」には、あーるーんーだーなーあ、これが。


固陋なのに時にお茶目な紳士フィリップと、きびきびはつらつ暴言を吐きまくるけれどあったかいドリスは、もう、ほんと、安定感抜群。

フィリップの家をきりもりするおばちゃんイヴォンヌは、
「フランス映画は年を重ねた女性を魅せるのがうまい」という定評そのまま。

フィリップの秘書マガリーの美しさもたまらん。
レズビアンのみなさんは、まじで見とかないと損するわよ。



と。
言いつつですね、「みんな褒めてるけどこの映画ってさあ…」と他人が不満をもちそうなポイントを見つけることもできなくはないのです。

例えば、フランス映画によくあると言われる「間」。苦手なひとっているとおもう。
会話のない時間、表情を追う時間、坦々とすすむ時間。間はたっぷりあるからね。

上にも書いたけども、ドラマチックな何事かが起きるわけでもないので、飽きるひとは飽きるかも。


それから、ドリスの「スラム出身であるがゆえの苦労」「家族との苦労」「介護の苦労」みたいなものがほとんど描かれない点。
もっと葛藤が見たかった、現実が見たかった、そういう声はあるでしょうな。
フィリップとドリスの二項対立構造が安直だ、とかね。

でも、ま、わたしは、描かれなかったことがあればこそ、シンプルな中身は引きたったし、余韻が生まれてよかったとおもったわ。
「描かれない」時間を想像させる余地が、この作品にはあふれています。

よい映画です。
わたしは好き。

 

さて。
言いたいことはおおよそ言い尽くしたので、最後にもう一度。

このブログを、活字好きのドレズが書いているブログを、
わざわざ読んでいるあなたは、やっぱりぜったい観るといいよ。

「これ以上なく有意義なタブーへの挑戦。結果は大成功」と評されたこの映画は、きっとあなたの心にとどきます。


 
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映画の中身とは関係ないけども、
レイトショーをふたりで観て、
おなじ家に帰って、
買ったパンフレットをふとんに並んでごろごろ読んで、
いつの間にか寝ちまって、
翌日はふたりで休日ってーのはいいね。最高だね。

同居ばんざい。

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08.レビューらしき」カテゴリの記事

コメント

記事を読んだら一気に観たくなりました。圭さんありがとうございます。
上映情報、調べてみようっと。

小夏さん

わー、美術と音楽に強いこなっつぁんに「観たい」とおもっていただけたなんて嬉しうございます。
お近くで上映していますように。なむなむ。

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