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同棲のおしたく⑥突撃不動産!

こんばんは、圭です。

あきらさんとの同棲を目指し、
いよいよ不動産屋に向かいます。
 
おしたく⑤から続けて読んでね。
 
 
※悪口なので分けます。閲覧注意!
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 

6月16日。
雨がぱらつく土曜日の午前10時。

1台の車が軽快に【ピー】不動産にすべりこんだ。
颯爽と降り立つレズふたり。
めがねを装備し、メモ帳を抱えている。

ひとりは、「きちんとした借り手だと判断してもらえるように」と身ぎれいにした女。
素材の悪さには目をつぶっていただきたい。

もうひとりは、「性別不詳な恰好をしているというだけであたしをぞんざいに扱う営業マンはその程度の人間だ」とこうべを高く上げたボーイッシュな女。
家探しは二度目とあって、表情に余裕がある。
 
ガラス戸を開けた。
なかに入った。



「いらっしゃいませー」



目ぢからの強い女性の営業員(以下、目ぢから嬢)と目が合った。
身ぶりでなんとなく席を示されたので、すとんと座る。

すると。



「あの…ご予約…いただいていますか」



え。
そういうことは、案内して座らせる前に、訊こうか!?
おもわず腰が浮いた。
 


「すみません、事前にご連絡はしていないのですが。飛び込みは受け付けていらっしゃらなかったのでしょうか」

「あ、いえいえ、だいじょうぶです…」



だいじょうぶじゃなさそうな言い方、しないではくれまいか。
うーん、おねえさん、むしろあなたがだいじょうぶ?

不安を覚えながらも、ふたりで暮らす部屋を探していることを話した。
予定どおり、希望を書いた紙も示しながら。



「…というような部屋があったらとおもって伺ったのですが」



希望を伝え終えた。



「ええと…そうですねえ」



沈黙。



「……」



ん?
んん?

この沈黙って、わたしたちが破るところ? そうなの?
そういう条件があるなら、こんな物件がありますよーと、紹介してもらえるものじゃないの?
欲張りだという自覚はあったけれど、さすがに条件が厳しすぎたとか?


室内にいる他のスタッフは、パソコンに向かっている。
カタカタ カタカタ。
無表情だ。

助け舟がこないということは、このスタッフ、新人ではないはずだが。

と、目ぢから嬢が口を開いた。

 

「あのう、このたびの、お部屋探し、というのは、どういう…」



語尾は口のなかに消えた。

どういう?
なんだそら。

すみません、「どういう」というのはどういう…?
ご質問の意図は?
 
逆質問で返した。



「いえ、あの、ごきょうだいでお住まいとか、」
 
 
 
ああ。
そう。
わたしたちの関係が聞きたかったのかい。

それならば。
「どういう…」なんて言わないで。

「ごきょうだいでふたり暮らしですか? 仲がいいんですねえ~」
でもいいし、
もっとはっきり
「失礼ですが、ご関係は」
でもいい、なにか別の訊き方があるとおもう。


おしたく③にも書いたことだが、
じぶんたちの関係を話す必要が生じたら、話す心づもりはあった。

しかしこのとき、彼女とわたしのこころは一致していた。
目と目で会話するまでもなく、一致していることがわかった。

この営業員に対して、内情を曝す気にはなれない。



「いえいえ、きょうだいではないんですよ。ルームシェアです」

「ああ、ええ、ルームシェアですか」



気まずい間が生まれた。



「あの、ネットで見てここがいいなーとか、そういう物件があってこちらに…?」

「特にそういうわけではありません。ネットに載っていない物件もあるでしょうし、検索してもヒット数が多いので、おすすめがあればピックアップしていただけたらとおもったのですが」

「…ネットには8割方載せているんですけどねー」



だから、どうした。
 
我々は、ネットにあまり頼らない道をあえて選んだのだ。
あなたの、営業力に期待して。

このまま、物件は紹介してもらえないのだろうか。
仕方ない、もう一押しした。

 

「どうでしょうか」



次の一言を、我々は決して忘れないだろう。
一生ネタにして「あれは衝撃だったよねー」と言い合うだろう。

目ぢから嬢は言ったのだ。

 

「ないですね……」









は?


ない?
この条件の物件は、ない?

目ぢから嬢は、こころもち申し訳なさそうな顔で、大きくうなずいた。



「ええ、この条件だと、ないですね」









で?

え、なに、やだ、これで終わりなの?

例えば、
「家賃をあとン千円引き上げればこういうところがありますよ」
とか、
「エリアを広げて、このあたりならこういう物件がありますよ」
とか、
「駐車場は別途借りていただかないといけないけれど、こんな家もありますよ」
とか、
そういうのもぜんっぜん、ないの?


ぜんっぜん、なかった。

「ないですね」と繰り返したのち、目ぢから嬢は我々の発言を待っている。
明らかに、待っている。

もう帰ってほしいというのなら、それはそれで切り上げ口上というものがあろうに。

「今回はご案内できる物件がありませんでしたが、ご希望に近いものがありましたらご連絡いたします」とでも言って立ちあがり、それとなく出口を手で示すとか。

それなのに、待っている。
いったいなにを。

我々になにが言える?

となりを見た。
ボーイッシュな我が彼女は、既にだんまりを決めこんでいる。


ああ、これは怒っているのだ。
温厚な彼女が、珍しくいらいらしているのだ。

ごめんね、なんの情報も引き出せないのに、ずいぶん長居したね。
もっと早く見切りをつければよかったね。



「そうですか、残念です。もう一度よく相談してみて、条件を削ってからまた伺います」



目ぢから嬢が顔を伏せた。
一礼のつもりだったのかもしれない。

店の外に出た。



車に戻って、笑いながら怒った。

あれはなんだ、目ぢから嬢はじぶんの仕事が嫌いなのか。
そんなに自社の物件を貸したくないのか。
雨だからブルーなのか。

このふたりレズだよね、きっとレズだよね、とおもったら
接客する気が失せたのか。そうなのか。どうなのか。

いや、はなっから目ぢから嬢には営業の意思がなかったとおもう。
判断根拠は、これだ。


彼女は、我々ふたりの客に対して、1枚しか名刺を出さなかった。


名刺を受け取ったあきらさんが、
わたしにも見えるように、ふたりの間に名刺を置いたとき、
目ぢから嬢は露骨に奇妙な顔をした、とあきらさんが教えてくれた。

そんな、変な顔をされましても。
わたしも知りたかっただけなのよ、ふたり暮らしの最初のコーディネーターたるひとの名前を。

残念だった。
出鼻を挫かれた。


さらに。
たしかに目ぢから嬢は「あなたの対応こそ、ないですね」と言いたくなるようなひとだった。
それでも、その言っていることは事実かもしれないのだ。

   
我々の求める物件、ほんとになかったら、どうしよう。

 
車を発進させたふたりの上に、雨雲が広がっていた。



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03.同棲にいたる道」カテゴリの記事

コメント

はじめまして
通りすがりの元不動産屋です
お二人の行かれた不動産屋の対応、元同業者として大変恥ずかしく思います

不躾ですが、お部屋を探すにあたり、いくつかアドバイスを書かせて下さい

・不動産屋は、アパマンやミニミニのようなオープンカウンタの大手以外は、予約していった方がいいです
不況の昨今、営業部員の数も減っていますので、飛び込みは今回のように不慣れな営業に当たる可能性大です
物件の下見にも人手が要りますからね

・ルームシェア可の物件を探すのは大変です。単身者の10倍は大変。数打ちゃ当たるの精神でお探し下さい。ルームシェアは家賃を折半する方が多いので、喧嘩して片方が出てっただので家賃滞納が多く、不動産屋と大家が嫌がられているのが現状です。
また、収入審査と保証人もお互いに用意する必要があります。

長文失礼しました。

通りすがりの元不動産屋さん

まさか不動産を扱ったことのある方からコメントがいただけるなんて。
加えてアドバイスまで。恐縮です。

不躾だなんてとんでもない、
予約していったほうがいい理由など、至極当然で、考えの浅かったじぶんを恥じました。
「不慣れ」というのもいいことばですね。
目ぢから嬢への怒りが和らぐ表現でした。

しかしルームシェアは10倍ですか! ひゃあ。

ひゃー、おつかれさまでした!

まあ確かに仲介の営業は当たり外れが激しいです。
特に土日に予約なしで会える、カウンターにいる営業は、
要は「お客さんがついていない営業」だったりする可能性も…。
(勿論そうとは限りません)

私は、前回の部屋探しの際に、ネットで気になった物件の空きを確認し、
その日に内見できるかを時間を含め確認し、その上でカウンターに行った筈が、
別の物件だけをやたら勧められ、元の物件の状況を重ねて尋ねたら、
「その物件は空いてません」と言われる、という
お口あんぐりな出来事がありました。

なんだか文章の流れ的にもう物件見つけられてる気がするので、
問題ないかなーとは思ってるんですが、ネットで絞る際も、
「二人入居可」で絞るといきなり物件数が減るので、絞り込みやすいでっす。

しかし今は、(七年前に比べ)だいぶ二人入居可も増えました。
いい時代だわ。

ヨコさん

そう、ほんとに予約はしたほうがいいということを学びました。
でも目ぢから嬢も、ブログのネタを提供してくれたのでヨシとします。

ヨコさんの過去の部屋探しのエピソードは、
おそらく「おとり物件」だったのでしょうね。
カウンタまで足を運んでもらうために、
空いてもいない魅力的な物件情報を出しっぱなしにする業者がいるそうですよ。
(『賃貸生活AtoZ』の業界暴露話による)

しかし、部屋がすでに見つかっていること、バレましたねw
ゆっくり書いていきまーす。

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