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同棲のおしたく⑨下見と決心

こんばんは、圭です。

「かっこいいレズビアンカップル」で検索してきたあなた、
ごめんね、来るところを間違えたね。
わたしたち、たれぱ●だとカピバラみたいなカップルだからね。


さて。
あきらさんとの同棲を目指し、不動産屋の松田さんに導かれて下見にまわった土曜日の話が続きます。

気が昂って連日更新していたのですが、昨晩は職場のおっさんたちと焼き肉をわはは食いながら飲んだくれて、更新しないまま爆睡。あれ?


おしたく⑤から一連の流れになっております。長いよ。









 

「カップルなんです」
 
松田さんにカムアウトした。



松田さんは言った。



「なるほどですね」



松田さんはやさしかった。

我々の事情を承知したと。
最善の提案をすると。
しかし大家さんは、世代のせいもあるかもしれないが、理解がない可能性があると。
だから大家さんには、カミングアウトしないことを薦めると。
それでも、大家さんに対しては松田さんからうまく話し、間違いなくスムーズに借りられるようにすると。

明言した。

どうやら、まだ見ぬ大家さんたちは、松田さんの「ひとを見る目」を信じている。
さしあたり、松田さんの得ている信頼に乗っかることにした。

 

「これはまったく別の話ですが、知人に性同一性障害の方がいて、やっぱり理解の得られない場もあると話していたんですよ」



職業や肩がき、境遇。
どのようにカテゴライズされたひとなのかということではなく、
本人がどのような人間なのかということこそが、
たいせつなはずなんですけどね。
…過去の営業経験も交えて話し、松田さんは言った。


このことばも意味深いものだったはずだが、我々は別の発言にこっそり感動した。

「これはまったく別の話ですが」

松田さんは、レズと性同一性障害が別ものだと、正しく認識している。



そうこうするうちに、着いた!
かぎを開けてもらうときの気の盛り上がりといったらない。

建物を見上げる。
ここが、新しい棲みかになるかもしれない。

路上でボールを蹴っている少年にあいさつをした。
きみは、おとなりさんになるかもしれない。 


いざ内覧、となっても、松田さんは手を抜かなかった。デキる営業員であり続ける。

何軒か見てまわったのだが、進んでその家の「弱点」を示し、
「無理!か」 「この家賃なら、と目をつぶれるか」 「気にもならないか」
我々に確認するのだ。


ちょっとデザイナーズマンション風で、壁紙が派手なんです。ほら。

数日留守にしてしまうと、洗面所が少しにおいます。今もじゃっかん…

とにかく古いので、こういうふうに床に傷があったりします。


電車がたたんたたんと通れば、すかさず、
「線路が近いのでこういう音も聞こえますが、気になりますか」


いいえ、ちっとも!



もちろん長所の売り込みも忘れない。

北向きの部屋でも、これだけ明るいですよ。

夜景がきれいですよ。

カードキーで複製されにくいので、防犯にいいですよ。


まったく、いろんな売り文句があるものだ。
ひとが住まいに求める「条件」の多様さにおどろかされた。



そして、本日最後の物件にたどり着く。

かぎを開ける。

とびらを開く。



「わあ、この下駄箱すごい」



和だんすのような、むらさきがかったこげ茶色の、ものものしい下駄箱。
ひろびろとした玄関。
傘立てを置くスペースを、抜け目なく確かめた。

先に居間にあがったあきらさんが叫んでいる。



「圭さん、圭さん! 窓、窓がいっぱい!」



家探しをいっしょにするようになってはじめて、
あきらさんが「風とおし」をとても気にしていることを知ったのだった。


 
「圭さーん! 台所も見て見て見て見て! あたしここでごはん作りたい」



ああ、これはもう、決まりだ。

慌てて、チェックポイント表を取り出す。


においは?
悪臭、なし。前のひとの生活臭、なし。トイレも、風呂場も。

掃除は?
入居前に掃除・消毒してもらえるようだ。

扉や窓のたてつけは?
問題ない。かぎもきちんとかかるし、重くもない。きいきい音もない。
 
動線は?
台所・洗面所・風呂場・トイレの並びが理想的。
洗濯ものを洗って干してたたんでしまうまで、動きにむだはなさそうだ。
「水場のとなりに押し入れ」という、かびを恐れる間取りでもない。
ひとが来たとき、いきなり生活感あふれる空間を見せたりしないで済む。

収納は?
ふたり暮らしにはじゅうぶん過ぎるほど。
ほら、物件紹介欄にも「たっぷり収納!」と書いてある。

コンセントは?
数に不足はなさそうだ。
家具でふさいでしまわないように、壁のはじからコンセントまでの長さも測っておこう。

照明は?
設備としてついている。でもシェードを買い換えよう。インテリア、インテリア。
エアコンは一部屋にしかないが、あきらさんもわたしも、実家の自室にエアコンはないので困らないだろう。
 
かぎは?
入居前に交換してもらえることを確認した。
我々は、「こいびとに合いかぎを渡してある」状態ではなくなるのだ。

電波は?
良好、良好。



ほら、決まりだ。



ところで、実は。

この物件、我々が提示した上限家賃を超えていた。

それでも紹介したところは、松田さんの手腕だ。

さらに。



「条件を伺っていながらご紹介したので、家賃は大家さんに交渉して、おふたりの上限まで、下げてもらいます」



お、言ったな?


賢いひとなら、冷静なひとなら、立ち止まるだろう。
なにかウラはないか、と。

ほかのひとにはなかなか選ばれない物件だから、
ぜひとも我々を入居させようと、家賃交渉の話まで出すのではないか、と。


しかし。

選ばれにくい物件である第一の理由は、わかっていた。

古い。
古いのだ。

わたしより長く、この地球上に在る物件。
きれいな、おしゃれな、スマートな部屋で、きゃっきゃと同棲したいひとは、選ばない。


我々は、それぞれの実家をおもい浮かべた。

古いということは、逆に、長い年月の使用に耐えてきたということでもあるだろう。
周辺の街並みにも、よくなじんでいる。

あり、だ。
古さは、我々にとって、問題ではない。
 


選ばれにくい物件である第二の理由は、松田さんが説明してくれた。



「ファミリー物件なのに、駐車場が1台ぶんしかないので、敬遠されてしまうんですね」


あー、そうね。
我らがドいなか、車社会だものね。

うちのご近所には、車を5台お持ちのご一家もある。


我々カップルは、あきらさんしか車を持たぬので、これまたやはり問題とはならない。

さ、居室のほうもゆっくり見学してこよ♪


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